クロ ソラスズメダイの藻園で優占するイトグサの1種は、このスズメダイによる防衛と除藻により維持さ れています。琉球列島で、クロソラスズメダイを始め6種のスズメダイ類の藻園と、その外から徹底的に藻類 を採集し、形態情報とDNA配列情報を用いてイトグサ類を精査したところ、クロ ソラスズメダイの藻園で優占するイトグサは、そこにしか生育していないことが明らかになりました。このイトグサはクロソラスズメダイの手厚い庇護の下でし か生息できないのです。一方クロソラスズメダイは藻園でのみ摂餌し、イトグサに栄養を依存しています。こうして両者は互いに互いの生存を依存する、ヒトと 栽培植物との関係に例えられる絶対栽培共生の関係にあることがわかりました。
他にも、それぞれのスズメダイ類と種特異的な関係を結ぶ3種のイトグサ類が見つかりまし た。その一つは、スズメダイモドキの藻園で必ず優占し、このスズメダイに依存されますが、他のスズメダイ類の藻園や藻園外にも生育しているイトグサです。 両者の関係は条件的栽培共生と言えます。他の2種類のイトグサは、ルリホシスズメダイとダンダラスズメダイの藻園のみに雑藻のように ひっそり生育していました。このように、スズメダイとイトグサとの間に、新たな栽培共生系が発見されました。とりわけ、植物と動物との間の絶対栽培共生 は、ヒトとこのスズメダイ以外に例のないものです。
 
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スズメダイ類と、それらと絶対栽培共生、条件的栽培共生、片利共生を結ぶイトグサ類。