食品栄養学科Department of Food Science and Nutrition
医療チームの一員として力を発揮する、食と健康のプロフェッショナルに。
現在食生活考
健康講座4
農学部 食品栄養学科(管理栄養士養成課程)
教 授 杉本 温美
美味しいお米
米は古来より、日本人の主食として毎日のように食されてきました。昭和45年頃までは1人1日あたりおよそ300gの米を主食として摂取していましたが、現在ではおよそ150gと減少しています。しかし、量が減ったとはいえ、お米を毎日、主食として食べていますから、できるだけ、美味しいお米を食べたいものです。
美味しいお米とは一体どういうものなのでしょうか?
日本人が美味しいと感じる米の食味は、年齢や住んでいる地域などによって好みに違いがあります。また、各種の調理・用途によっても明らかに違いますが、ここでは、主食として白米を食べる時に感じる食味評価について述べます。一般に、日本人が感じる美味しいお米のイメージとしては、①米飯に透明感があり艶がある②ご飯粒がふっくらしている③かんだとき歯ごたえがある④ほどほどに粘りがある⑤冷えても硬くならない⑥わずかに芳香がある⑦噛んでいるとかすかな甘みがでてくるなどがあげられます。したがって良食味の要因としては、ご飯のつや、香り、味そして粘り、硬さなどの物性が関与しており、一般には、それが、お米の品種によって異なる成分含量などに起因する場合が多いと言われています。日本標準食品成分表によれば、精白米に含まれる成分で多いのは、炭水化物77.1%、たんぱく質6.1%で、炭水化物の大部分を占めるデンプンの特性が、米の品質・食味に与える影響はきわめて大きいと考えられます。
デンプンはこれまで、グルコースが一本の鎖状につながったアミロースと、一部に枝上の分岐をもつ樹枝状のアミロペクチンから構成されていると言われていましたが、最近になってアミロースには直鎖アミロースとともにアミロペクチンほどには分岐していないが、一部に短い枝をもつ分岐アミロースの存在が明らかになりました。アミロースのグルコースの長い鎖は、ヨードにより青色に変化します。これを利用してアミロースの含有量を求めることができます。最近のデンプン科学の研究では、アミロペクチンの最長鎖(実はこの最長鎖が米飯を硬く、粘りを弱くしています)もヨウ素と結合して呈色するので、ヨード呈色法で測定したアミロース含量は「みかけのアミロース含量」と呼ばれています。国際稲研究所によれば、ヨード呈色法で測定された世界の米のみかけのアミロース含量は0~33%に分布しています。通常の日本のお米(うるち米)は、みかけのアミローを17~23%含んでいますが、米飯の粘りはみかけのアミロース含量に影響をうけ、見かけのアミロース含量が低い米ほど米飯の粘りが強いと言われています。したがって、みかけのアミロース含量が30%を超えるような高アミロース米は硬くて粘りが少なく、逆にアミロースを含まないもち米の米飯は軟らかくて粘りが強い米飯になります。
もう一つ、食味に関係する因子としてたんぱく質含有率があげられます。たんぱく質含有率の高い米は、硬く、粘りの少ないご飯になります。たんぱく質含有率と粘りの関係については、たんぱく質顆粒(プロテインボデイ)の種類や粒内の分布と、炊飯時の細胞膜の壊れ易さや炊飯米の表面の網目構造との関連などが示唆されています。
美味しいお米を成分の面から見ると、アミロース含量が低いか、あるいはたんぱく質含量が低い。むしろ両方が低い場合が多いといえます。