食品栄養学科Department of Food Science and Nutrition

医療チームの一員として力を発揮する、食と健康のプロフェッショナルに。

現在食生活考

健康講座5

農学部 食品栄養学科(管理栄養士養成課程)

教 授 樋口 寿
食育と食生活の乱れ

 普段何気なく見ているテレビドラマを、気を付けて見ていると食事のシーンがとても多いことに驚かされます。たしかに食事をしている風景から、時代の背景も家族の絆や人間関係もくみとれます。何よりも、食生活は、私たちが生命を維持し、子供達が健やかに成長し、また人々が健康な生活を送るために欠くことのできない営みです。

 わが国は、食生活を取り巻く社会環境の変化に伴い、豊かで多様な食生活となっていますが、その実態をみると、不規則な食事、野菜の摂取不足や食塩・脂肪の過剰摂取、肥満や生活習慣病の増加などの問題があります。また食生活の欧米化により、日本の伝統的な食の姿はなくなり、家族で食事をする機会も減少しています。これら食生活の乱れに加えて、食の安全性や医療費抑制のために食生活の改善が急務となり、食育への関心とニーズは高まり、社会全体として取り組む必要性が出てきました。平成17年「食育基本法」の施行によって法的支援環境は整い、平成20年度から、健診においての腹囲計測が義務づけられ、成人対象の食育の推進が求められています。しかし、食習慣の基礎は幼少時に形成されると言われており、大人になってから改善するのは困難であることから、子供の時期から食教育を受け、正しい食習慣を身につける必要があります。平成17年国民健康・栄養調査結果によると、朝食の欠食率は男女ともに20歳代が最も多く、1人世帯では49.4%が欠食しています。そして朝食欠食が「小学生頃から」始まった割合が8年間で男性は4%から6.2%に、女性は2.8%から6.0%に増加しています。子供に食べることの意義、その必要性、ならびに生きる事への意義などについて考えさせ、自ら望ましい食べ方、望ましい生活を営む力を習得させることが重要です。

 近年、青少年においても生活習慣病のリスクファクターが悪化しています。肉類中心の欧米型食生活、塩分・糖分・添加物の多い間食や加工食品の過剰摂取、朝食欠食などの食生活リズムの乱れなど、食に起因する健康諸問題の改善を促す食育が求められています。
  24~54歳の成人男女に健康への認識について調査した結果、健康に適した食生活をしていると認識している人では欠食が少なく、緑黄色野菜や豆類を沢山食べていました。また、緑黄色野菜や豆類を多く食べている菜食者は、一般的な食事をしている人に比べ血液流動性(血液のサラサラ度)が高く、肥満や高血圧もないことがわかりました。

 もともと日本人の食生活は、伝統的に主食であるご飯を中心に、魚や野菜、大豆から作る豆腐などの副食からなるものでした。現在では、米の消費が減少し続け、脂質のとり過ぎと炭水化物の摂取量が減少しています。動物性食品中心の食生活よりも、豆類や緑黄色野菜を豊富に摂取する「日本型食生活」を心掛けたいものです。